医師と業者の不適切な関係(仮)

OpenDolphin がらみの記事が続いたようなのでついでで。

ANN2b 先生の『HorliX -wikipedia 風解説- にまつわるあれこれ』という記事にダル絡みした人がいたらしい。

この記事

増田内科のHP内に特定の個人を誹謗中傷する内容が作成された事実はありません。
又、増田医師が一般人の個人情報を流出させた事実もありません。

前者(HP内に特定の個人を誹謗中傷する内容云々)は残骸残っているかな。
私も残っているものをこの記事内にまとめている。
→諸々の事情で『いるかの怪文書』などにまとめました。

後者の方はかなり問題。
昔、増田茂(医師。当時、和歌山 増田内科所属)を連想させる @masudanaika という twitter (X) アカウントがありました。
その投稿のうちの一つで精神障害を持つ一般人の SNS 上の限定公開の書き込みが(たまたまだが)流出して、私とリアルの増田先生が(間接的に)協力して行政担当者に相談の上すぐに消させたという事実があります。
って、これだけだと何言っているかわからんね(そのうち詳しく書くかも→まとめました)。
ことがことだけに(患者さんのプライバシーに関わる)私と増田さんと行政担当者でうちうちに処理していたので、このことの細かな経緯は外部に漏れるはずないと思うんですが???

なんで知っているの?

増田茂氏以外の @masudanaika の中の人がこの記事を書いたってことでしょうか?

だとしたら、「なりすまし」みたいな問題が生じて、それはそれで問題になるんだが。

何言っているかわからないと思うので、そのうちまとめます。

Dolphin プロジェクトと皆川和史

以前にこの記事OpenDolphin に関して「向う(注:LSC の一部などのこと)も困っているのか人を介して元プロダクトマネージャーの方から、オープンソース版のとりまとめ役になってくれないかという依頼もあった」ということを述べたが、一部の人から「そんなことはない!」みたいな反応があったようである。

どうもこの手の人たちは「人を介して」の部分を読み飛ばして「とりまとめ役になってくれないか」だけに(なぜか)憤りを覚えていたようだ。

「LSC から(直接)とりまとめ役を頼まれた」と書いているのではないのだが?

その「人」が少々話を盛っているかもしれないので、私だって真に受けてはいない。だが、そういう話をふられたことは事実だ。

具体的には、twitter(X) の DM でこんなやり取りが行われていた。
その一部を抜粋する。

air_h_128k_ill 版というのは OpenOcean のことで、処方箋打ち出し機能などを備えていたが、本質的には OpenDolphin-2.7m と同じだ。
LSC が提供していたDcoker 版のドルフィンサーバーと通信し、目立ったバグはなく、ファイルバックアップ機能を有していたことから、当時、かなり人気があったのだ。

ここだけだと「とりまとめ役」というニュアンスは薄いが、会話相手が言うには皆川(和史)氏の希望としては「OpenOcean をベースに増田バージョン(増田ファクト)をマージし、オープンソースとしてメンテしていってほしい」というようなことだったらしい。

会話相手が盛大に話を盛ったかもしれないので、私もこれを額面通りには受け取っていないが、少なくとも「向うも困っているのか人を介して元プロダクトマネージャーの方から、オープンソース版のとりまとめ役になってくれないかという依頼もあった」という表現はそれほど間違っていないと思う。わざわざ「人を介して」と入れているのだから、その程度の文意は汲み取ってほしい。

ところで、今、読み返してみると、当時の混乱ぶりが窺い知れる。

例えば「OpenOcean は元々は増田ファクト」というトンデモな解釈。これは「一部」の人たちの間では、さも真実であるかのように扱われた。

これは完全な間違いで、Fork 順は

LSC Dolphin → OpenDolphin-2.7m → OpenOcean

というのが正しい。増田ファクトは入っていない。
そうでなければ、LSC のドルフィンサーバーと何の齟齬もなく通信できるわけがない。
(ソースコードから検証した内容を『ソースコード嫁』として記事にしました。オープンソース界隈の方からかなり好評のようです)

なぜ、そういったことを言ったのかは、現在なら、ある程度推測はつくが、その詳細を述べるのは、長くなりそうなので、ここでは触れない。が、相当焦っていたのは事実だろう。ドルフィンの担当役員を外され、LSC 自体の経営陣が刷新され、公的にはドルフィンと関われなくなりつつあったのだから。

→ OpenOcean 騒動の余波で、触れないつもりだった「推測」もぼちぼち語っています。

OpenOcean 怪文書 -GPL 誤用による違法行為示唆-

小林慎治氏の OpenOcean に関する事実誤認

など参照。


この話はこれでおしまいなのだが、一応、付け加えておくと、この後、経営陣が刷新され新たに LSC に加わった担当者が直接当方まで会いにきてくれて、「本家リポジトリのメンテナになってくれないか」という依頼があったのは事実です。
OpenDolphin-2.7m は、LSC Dolphin の直系なので、悪い話ではなかったが、HorliX の開発でいっぱいいっぱいでお断りせざるを得なかった。

また、2020 のメドレー譲渡の際にメドレー担当者(マッチョな人、と言えばわかるでしょうか)から、やはりメンテナ就任の打診は(電話でですが)ありました。


これは、私の全くの想像だが、経営陣が刷新された時点で「基本的にはドルフィンはオープンソースをやめる」というのが決まっていたんではないかと思う(実際、2.7 以降、本家のリポジトリ更新はない)。
オープンソースであるが故にとにかく売れていなかった。
私は、かなり詳細なインストール記事を書いていたし、SOSO さんは本家ドルフィンにさらに機能追加した GlassDolphin をリリースしていた(その後、MIA も参入)。
この状況下では、あえて LSC Dolphin を選ぶ理由がない。


しかし、おかしなこと言わなきゃいいのに。。。

HorliX にコメントしてくれるのは嬉しいが、見当はずれとわかったら訂正して欲しいものだ。
実際、上二つのツィートは作成者が勘違いに気がついたかなにかして削除してあるのだから。
誰でもうっかりミスはある。それだけで咎めることは現実世界でもそう多くないと思うし、私も咎めない。
だが、ミスを認められず放置となると話は別だ。
不健全な自己顕示欲は、拗らせると碌なことにはならない。

→2025 年10月現在、SNS のアカウントなど全削除。ネット上での活動は停止したようだ。

 

 

オープンソースと 生成 AI

タイトルはおっきめにつけたが、ネタは東大松尾研が生成 AI のプレスリリースで「オープンソース」というワードを使ったことに関するあれこれ。

実際に適用されたライセンスは CC BY NC 4.0 で、オープンであるが「商用利用不可」というもの。

これは「商用利用不可」という制限があるので OSI がいうところの「オープンソース」ではない。

そういったわけで、プレスリリースされた直後から、その点を指摘する声が多数あがった。

いつもの話と言われればそうなんだが、今回は世間的に注目を集めている研究室の生成 AI に絡んでいるという点で従来の諍いみたいなものと違っていたように思うので、その点を意識してあれこれ書く。

なお、顛末を先に書いておくと、松尾研がプレスリリースに訂正を入れるということで騒動は決着ついた。ただし、訂正後はデータ公開云々みたいな話はどこにも記載されておらず、この点も興味深かった。

今回の件がこれまでの論争と違っていたのは、「細かいこと(OSI の定義に従っているかどうか)にこだわる必要があるのか?」という正面切った反論が出てきたこと。

この件は宗教論争的側面が多いのでここではスルー。

興味深かったのは、これに伴ってよく出てくる「オープンソースという言葉は、オープンソースな人々が初めて使った言葉なので、OSI に従うべきだ」みたいな都市伝説的な言い分が完全に論破されたこと。

いかにも SNS 。例えば、このスレあたり参照。

元の記事にもあるように open source という言葉は、オープンソース教祖が特別な意味を付与する以前から普通に使われていた。

また、「オープンソースは商標が成立しているので、この言葉を使うときは OSI の定義に従うべきだ」というよくあるアレも完全に論破されている。

これなんぞ参照。

むしろ事実は逆で「オープンもソースも一般的なワードなので、ソフトウェアの分野で商標は成立し得ない」というのが正しいのだが、皮肉なことにこの著作権的な常識が強調された結果になったようだ。

まあ、今までがおかしかったんだけどね。

オープンソースはよく宗教や政治的信条(共産党とかさ)に喩えられるが、今回の騒動でその党派的で胡散臭い側面が白日の元に晒され、完全に否定されたようだ。
この点が従来の小競り合いとは違っていたように思う。

 

猪股弘明

爆縮

初出は facebook の某グループです。
突如、iPS の話題が出てくるのは、並行して人気のスレだったから。
深い意味はないです。


潜水艦タイタン号の破壊メカニズムは「爆縮」と推測されてますが、構造物が外圧で部分的に壊れていく「圧壊」とは物理プロセスが違います。

物理畑の人が「爆縮」で想起するのはプルトニウム型原子爆弾の起爆装置の原理となった「爆縮レンズ」でしょうか。

アナログな爆薬と電子制御で爆弾中心に設置されたプルトニウム塊に「高爆圧を」「周囲から同時に」「瞬間的に」かけるのがキモです。(こうしないと臨界状態にならない)

原子爆弾というとアインシュタインの E=mc^2 が有名ですが、これは単に基礎的な原理を表しているに過ぎず、実際にプロダクツ?をリリースするにはプルトニウムやウランの精製や起爆装置などの周辺技術も整備しないといけません。

爆縮レンズの担当はフォンノイマンだったらしく、彼の超人的な仕事ぶりが wiki あたりにも載っています。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%88%86%E7%B8%AE%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%BA
(GIF も同ページより転載)

しかし、今から見てもマンハッタン計画はすごいですね。
リーダーをオッペンハイマー、理論や実験の実務をフェルミ、数値解析はフォンノイマン、派生的なテーマをファインマンあたりがやっていたという贅沢すぎる豪華人材の投入っぷり。

比較するのも可哀想な気もしますが、iPS は(原理は私もすごいと思いますが)すり寄ってきた人たちがダメすぎた気がします。

なお、なんでこのスレを立てたかと言えば、どこかで「乗員はどうなったんでしょうか?」というような投稿を見かけたから。
まず、探索時に衝撃音を観測したという報告があったので、「圧壊」ではなく「爆縮」であった可能性が高くなりました。
破壊メカニズムのあたりがつくと、理論を使って何が起こっているかの大雑把な見積もりができるようになります。
爆縮は瞬間的に起こりますが、これはミリ秒オーダーでおこったらしいです(ネット上で計算した人がいた)。ミリ秒オーダーだと、外界と熱交換している時間はほぼないため、断熱圧縮という現象がおこります。
この効果で乗員の体表温度は数千度に一気に上昇(おそらく黒ごけ)、ただし、生体の熱伝搬はそれほど早くないため、内部臓器はおそらく「レア」。続けて(現実のタイムスケールではほぼ同時に)圧力波と潜水艦構造物が乗員を襲います。身体各部位の損壊は相当激しかったと思われます。
このシナリオだとすると、恐怖を感じることなくほぼ即死でしょう。

 

次世代型 HorliX

現行の HorliX を Mac AppStore からリリースしたのは、2018 年のことだから、かれこれ 5 年前のことになる。

売れ行きも評判も上々で気を良くしていたんだが、すぐに今も続く懸案事項が持ち上がる。

それは当時のアップルが打ち出した

OpenGL の廃止・Metal への移行

という方針だった。

HorliX に限らず、画像系のアプリはほとんど OpenGL に依存していたから、それなりの騒ぎになったことは覚えている。

幸い?すぐに廃止ということにはならなかったが(ちなみに、今でも OpenGL は使えている)、Metal が普及するにつれ、そのパフォーマンスの良さに「移行はやむなし」という雰囲気に変わってきたように思う。

私も、この方針が打ち出された直後、次期バージョンのことを思い浮かべた。

当初は、まずプラットフォームを Qt に移そうかと考えていた。
Qt はかなり早い段階から、Metal 対応を進めていたので、構想としては悪くなかったと思う。実際、試験的にプロトタイプも作成したりした。

ただ、どうしても本気になれなかったのは、HorliX を構成する膨大なライブラリ群もまとめて Qt で面倒をみなくてはならなくなることだった。

何か本質的でない気がした。

Metal への移行が思っていたより緩やかなことがわかってくると、アプリの Metal 対応は次第に考えなくなっていった。

ここ数年はそんな感じだった。

ところが、別件で画像処理関係で Metal を触ってみると、意外に扱いやすいことがわかってきて、HorliX 云々は別にしていくつか試験的なコードを書いてみた。

例えば、2D ビューア。

3D ビューア。

機能を豊富に盛っているわけではないが、最低限のラインはできているんじゃないかと思う。

当初は何かに使うという予定はなかったが、Metal による 2D や 3D 画像の取り扱いに慣れてくると、「これらを使って、次期 HorliX (PHORLIX と呼んでいる)できるのでは?」と思うようになった。

ここからの話は長くなりそうなので、いったん切ります。