爆縮

初出は facebook の某グループです。
突如、iPS の話題が出てくるのは、並行して人気のスレだったから。
深い意味はないです。


潜水艦タイタン号の破壊メカニズムは「爆縮」と推測されてますが、構造物が外圧で部分的に壊れていく「圧壊」とは物理プロセスが違います。

物理畑の人が「爆縮」で想起するのはプルトニウム型原子爆弾の起爆装置の原理となった「爆縮レンズ」でしょうか。

アナログな爆薬と電子制御で爆弾中心に設置されたプルトニウム塊に「高爆圧を」「周囲から同時に」「瞬間的に」かけるのがキモです。(こうしないと臨界状態にならない)

原子爆弾というとアインシュタインの E=mc^2 が有名ですが、これは単に基礎的な原理を表しているに過ぎず、実際にプロダクツ?をリリースするにはプルトニウムやウランの精製や起爆装置などの周辺技術も整備しないといけません。

爆縮レンズの担当はフォンノイマンだったらしく、彼の超人的な仕事ぶりが wiki あたりにも載っています。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%88%86%E7%B8%AE%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%BA
(GIF も同ページより転載)

しかし、今から見てもマンハッタン計画はすごいですね。
リーダーをオッペンハイマー、理論や実験の実務をフェルミ、数値解析はフォンノイマン、派生的なテーマをファインマンあたりがやっていたという贅沢すぎる豪華人材の投入っぷり。

比較するのも可哀想な気もしますが、iPS は(原理は私もすごいと思いますが)すり寄ってきた人たちがダメすぎた気がします。

なお、なんでこのスレを立てたかと言えば、どこかで「乗員はどうなったんでしょうか?」というような投稿を見かけたから。
まず、探索時に衝撃音を観測したという報告があったので、「圧壊」ではなく「爆縮」であった可能性が高くなりました。
破壊メカニズムのあたりがつくと、理論を使って何が起こっているかの大雑把な見積もりができるようになります。
爆縮は瞬間的に起こりますが、これはミリ秒オーダーでおこったらしいです(ネット上で計算した人がいた)。ミリ秒オーダーだと、外界と熱交換している時間はほぼないため、断熱圧縮という現象がおこります。
この効果で乗員の体表温度は数千度に一気に上昇(おそらく黒ごけ)、ただし、生体の熱伝搬はそれほど早くないため、内部臓器はおそらく「レア」。続けて(現実のタイムスケールではほぼ同時に)圧力波と潜水艦構造物が乗員を襲います。身体各部位の損壊は相当激しかったと思われます。
このシナリオだとすると、恐怖を感じることなくほぼ即死でしょう。

 

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“爆縮” への1件の返信

  1. 某氏へのアドバイス

    聴講は大事ですが、「なぜ、開発が進捗していないのか?」知りたいなら、質疑応答などで突っ込んだらいいんですよ。
    「素人質問で恐縮ですが、iPS 由来の細胞/組織の機能を患部で機能させるならば、○×というプロセスが必須なように思いますが、どのようなアプローチでそれを実現するおつもりですか?答えられる範囲内で結構ですから、ご教示願えますか?」みたいな感じでw

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