半田病院とオープンソースと OpenDolphin
半田病院
手が空いたので、例の半田病院の報告書をちょい詳しめに読んだのだが、ちょっと微妙。
ファイルの暗号化の話は触れられているのだが、肝心のデータベースはどうなったのか?という件はほとんど触れられていない。
半田病院のシステムがどうなっていたかは知る由はないのだが、通常、電カルの主要な情報は検索性高めるためにデータベースに格納する。
一般に、電カルのデータベースの置き場所を外部から特定して侵入するのは難易度高い。今回も周辺の設定ファイルなどを荒らしただけのような気がしないでもない。
なんで、これで業務全体がストップするのか、よくわからない。
オープンソース
半田病院の件の影響なのか「では、オープンソースの電子カルテはセキュリティの観点から安全なのか?」という話題が某所で上がった。
さて、どうなんでしょ?
OpenDolphin
私がある程度知っているオープンソースの電子カルテというと OpenDolphin なのだが、これに関していえばログイン認証などはクローズドで開発されたものに比べればやはり甘いと思う。
なにしろログイン認証の方式などセキュリティに関わる情報を教えているようなものなので、クラッキングする側から見れば「事前に問題をバラした筆記試験に挑む」ようなものだろう。
だが、それがそのまま弱点につながるかというと、そんなに単純なものでもないと思う。
半田病院の件で言えば、切れ切れに漏れてくる情報から察するに担当者がどの程度の被害なのかさえ把握できていなかった節がある。
これがもしオープンソースであり、担当者がシステムに対してある程度の知見を持っていたならば、状況はかなり違っていたものになっていたのではないかと思う。
(追記)この問題に関しては、WebDolphORCA のページなどで「3層クラサバ構成にする」というアイディアを出してます。
大阪急性期・総合医療センター病院との対比
大阪の病院でも似たような事件が起きた。
だが、こちらの方は早期に復旧した。
これは、この病院がバックアップデータを保管していて、そこから直接カルテ記載情報を復号することに成功したからだ。
半田病院はバックアップデータを取るのを怠っていたか、取っていても復号できなかったとしか考えようがなく、かなり初心者的なミスと考えられるだろう。
たまには、精神科医っぽく振る舞う
外勤当直やるメリットの一つに「自発的に購入することはないが、気になる書籍を読める」というのがある。
今回、医局本棚で目についたのは
という本。
飛鳥井先生ほか、神田橋パパ(某SNS初出時、御子息とフレンド)など業界有名人の座談会をまとめたもの。
まず、従来のPTSDの他、「複雑性PTSD」という診断名をICD-11的にも使って良くなったらしい。
さーせん、全く知りませんでした。
また、治療法としては、「トラウマ焦点化認知行動療法」というのが標準的治療になりつつあるらしい。
これも知らなかったが、多分、私、これに近いことを外来などでやっていたと思う。
PTSDの精神病理の本質は強烈なまでの「トラウマ記憶」だ。
が、これを放置したままでは自然にこの記憶が風化することはあり得そうもない。
だから、ある程度、患者さんと信頼関係が築けた時点で、この話題を面接時に積極的に取り上げる必要がある。
そうして、ちょっとずつ、ちょっとずつ、触れれば血のでるような記憶を治療者とともに外に晒していく。
こうすることで、制御の効かなくったトラウマ記憶を馴化・コントールしていこうという考え方だ。
パニック障害でもこれに近い方法を取っている精神科医は多いと思うので、私に限らず、こういったアプローチを取っていた治療者は多いと思う。
PTSDの治療は、ちょっと変わった治療法が提案されていたりもしたのだが、落ち着くところに落ち着きつつあるようだ。
猪股弘明
精神科医(精神保健指定医)
保護中: ysearch-gui について(開発者向け)
OpenDolphin HTML/PDF Viewer → WebDolphORCA
カルテ記載内容を html に打ち出せたらエディタを付けたくなるのが人情というものw
なお、エディタに関しては HTML5 の普及に伴い、それ以前のものが軒並み時代遅れになった感があるので、新規に作成した。→ YouTube 動画
データベース → 読み出し → html はできているのだから、基本的にはこの逆順の情報経路を確立すれば、ブラウザ型の電子カルテちっくな何かはひとまずできる。
まだ本気でやるかどうかも未定なのだが、(いつもの悪いクセが出て)とりあえずロゴを作成ww
先人に敬意を払って、いるかのフォルムとカラーリングにシャチの紋様にしたのだが、微妙に「コレジャナイ」感が漂っているwww
手っ取り早くは OpenDolphin にウェブレイヤーを被せる、というアプローチでいいんだろうな。
ログイン認証に関しては別件で作成済み。
この前に医療機関 ID の 1.3.1.6.9414.* 形式は撤廃してある。
OpenDolphin HTML/PDF Viewer もあることだし、ここらへん組み合わせてプロトタイプにする予定。
エディタも作成。
動画も含めて画像の類の取り扱いはけっこう面倒かも。
以前にこのエントリで
データベース → 読み出し → html はできているのだから、基本的にはこの逆順の情報経路を確立すれば、ブラウザ型の電子カルテちっくな何かはひとまずできる。
と「逆順」、つまり
html → 書き出し → DB
のことを書いていたが、若干、着手。
本当はデータ形式も clob 使いたいんだが、互換性のことを考え、従来の dolphin のデータ形式に合わせる。
試しにテストコードを書いたが、まあまあ、動いた。
例えば、こんな html ファイルがあったとする。
これを dolphin のデータベースに入れ込む。
改行処理が甘かったり、斜字やアンダーラインに対応してなかったりするのだが、まあまあといったところ。