外勤当直やるメリットの一つに「自発的に購入することはないが、気になる書籍を読める」というのがある。
今回、医局本棚で目についたのは
という本。
目についたというより、院長の飛鳥井先生が目立つように置いておいたんだろうけどなw
飛鳥井先生ほか、神田橋パパ(某SNS初出時、御子息とフレンド)など業界有名人の座談会をまとめたもの。
まず、従来のPTSDの他、「複雑性PTSD」という診断名をICD-11的にも使って良くなったらしい。
さーせん、全く知りませんでした。
また、治療法としては、「トラウマ焦点化認知行動療法」というのが標準的治療になりつつあるらしい。
これも知らなかったが、多分、私、これに近いことを外来などでやっていたと思う。
PTSDの精神病理の本質は強烈なまでの「トラウマ記憶」だ。
が、これを放置したままでは自然にこの記憶が風化することはあり得そうもない。
だから、ある程度、患者さんと信頼関係が築けた時点で、この話題を面接時に積極的に取り上げる必要がある。
そうして、ちょっとずつ、ちょっとずつ、触れれば血のでるような記憶を治療者とともに外に晒していく。
こうすることで、制御の効かなくったトラウマ記憶を馴化・コントールしていこうという考え方だ。
パニック障害でもこれに近い方法を取っている精神科医は多いと思うので、私に限らず、こういったアプローチを取っていた治療者は多いと思う。
PTSDの治療は、ちょっと変わった治療法が提案されていたりもしたのだが、落ち着くところに落ち着きつつあるようだ。
猪股弘明
精神科医(精神保健指定医)
“たまには、精神科医っぽく振る舞う” への1件の返信