ワイの書いた ECT の case report 未だに読まれてますね

以前にも書いたのだが、私が書いた ECT に関する症例報告は(予想に反して)かなり読まれているようで、某研究者サイトで 400 回読まれたらしい。

日本の主要な施設で使われているのは知っていたのだが、海外でも使われているらしい。提案者としては嬉しい限り。

ところでたびたび若い人から『日本語訳のついた解説書があるらしいのだが、見あたらない』と言われる。

それもそのはず、その解説書は正式な書物や電子書籍の類ではなく、(内容がある種の精神科医には難解だと思い)私がさっとまとめて私の個人ブログに置いてあるだけだから。

案内しておくと、『BioPhysical Psychiatry +』というブログの『フェイザーについて』というページの中段あたりにあります。

『advanced ECT techniques』をクリックすると落とせます。

ご興味のある方は一読を。

追記:さらにこの年の 12/29 には 500 回到達。

いや、マジで加速かかってますね。

追記2:2023/04/24 に600回達成。

追記3:2023/10/17 に700回達成。

猪股弘明
精神科医:精神保健指定医
日本精神神経学会 ECTrTMS等検討委員会委員

long brief pulse ECT とかいう手法

久々に某研究者交流サイトに入ったら、以前書いた症例報告がまた引用されているとのお知らせが。

引用元は ECT のケースシリーズ(↓)のようで

Katagai H, Yasui-Furukori N, Kawashima H, Suwa T, Tsushima C, Sato Y, et al.
Serial case report of high seizure threshold patients that responded to the lengthening of pulse width in ECT.
Neuropsychopharmacol Rep. 2021;00:1– 4.

references を調べると

あ、ありましたね。

著者の中に Shimoda とあるので獨協大の下田先生かな?と思ってたら、そうでした(某 SNS サイトで軽く盛り上がる)。

京大の先生方もいつもいつも私の名前を出してもらってありがとうございます。

内容に関していうと、この症例報告のキモは以下の figure です。

通常の設定で良質なけいれん波が得られない
→麻酔科的工夫(過換気、薬剤投与量↓)はダメ
→テオフィリンを前投与してもダメ
→Pulse Width を 1.5ms に変更したらほぼほぼ十分なけいれん波が得られた

という流れ。

Pulse width に加えて Frequency を変えたり変えなかったりしてるんですが、この効果はこれだけだとはっきりわかりません。

細かい話すると、川嶋先生は(どちらかといえば) frequency 変える派、私は変えない派です。
というか、初期の段階では、パラメータ変えまくると何が効いているのか分かりにくくなってしまうので、Pulse Width のみ変えていた、という事情があります(結果的に duration も変わりますが)。

 

猪股弘明
精神科医(精神保健指定医)
日本精神神経学会ECT・rTMS等検討委員会委員

(追記)「こちらにも引かれてますよ」と某先生が教えてくれた。
Is increasing the pulse width from 0.5 to 1 ms an effective strategy to optimize clinical and electrical outcomes in bilateral ECT treatment?
Clara Massaneda-Tuneu et al

思いっきり PCN 誌じゃん。購読はしているのに…。
Editor に対する Letter なので見落としてたな。

確かに。

ちなみに著者陣はスペインの人たちらしい。
広まっているものですね。

内容に関しては触れないが、

However, further research with larger samples and randomized clinical trials are warranted to demonstrate this clinical observation.

とあるように、long brief pulse の RCT を求める声はちらほら聞く。