long brief pulse ECT とかいう手法

久々に某研究者交流サイトに入ったら、以前書いた症例報告がまた引用されているとのお知らせが。

引用元は ECT のケースシリーズ(↓)のようで

Katagai H, Yasui-Furukori N, Kawashima H, Suwa T, Tsushima C, Sato Y, et al.
Serial case report of high seizure threshold patients that responded to the lengthening of pulse width in ECT.
Neuropsychopharmacol Rep. 2021;00:1– 4.

references を調べると

あ、ありましたね。

著者の中に Shimoda とあるので獨協大の下田先生かな?と思ってたら、そうでした(某 SNS サイトで軽く盛り上がる)。

京大の先生方もいつもいつも私の名前を出してもらってありがとうございます。

内容に関していうと、この症例報告のキモは以下の figure です。

通常の設定で良質なけいれん波が得られない
→麻酔科的工夫(過換気、薬剤投与量↓)はダメ
→テオフィリンを前投与してもダメ
→Pulse Width を 1.5ms に変更したらほぼほぼ十分なけいれん波が得られた

という流れ。

Pulse width に加えて Frequency を変えたり変えなかったりしてるんですが、この効果はこれだけだとはっきりわかりません。

細かい話すると、川嶋先生は(どちらかといえば) frequency 変える派、私は変えない派です。
というか、初期の段階では、パラメータ変えまくると何が効いているのか分かりにくくなってしまうので、Pulse Width のみ変えていた、という事情があります(結果的に duration も変わりますが)。

 

猪股弘明
精神科医(精神保健指定医)
日本精神神経学会ECT・rTMS等検討委員会委員

(追記)「こちらにも引かれてますよ」と某先生が教えてくれた。
Is increasing the pulse width from 0.5 to 1 ms an effective strategy to optimize clinical and electrical outcomes in bilateral ECT treatment?
Clara Massaneda-Tuneu et al

思いっきり PCN 誌じゃん。購読はしているのに…。
Editor に対する Letter なので見落としてたな。

確かに。

ちなみに著者陣はスペインの人たちらしい。
広まっているものですね。

内容に関しては触れないが、

However, further research with larger samples and randomized clinical trials are warranted to demonstrate this clinical observation.

とあるように、long brief pulse の RCT を求める声はちらほら聞く。

Linux カーネルのソースコード

気にはなっていたのだが、今まで linux カーネルのソースコードを読んだことはなかった。

現在(2022 年頭)、ソースは2700万行くらいらしく、全部を読むのは無理。
動かしながらゼロから学ぶ Linuxカーネルの教科書
が、導入書としては結構良書だったので、それを手がかりにして GitHub のソースを漁る。
https://github.com/torvalds/linux/blob/master/init/main.c
が、まず最初に実行される main 関数。

アイキャッチは、ページ機能の init (初期化)をおこなっている箇所。(これでメモリが使えるようになるわけです)
関数名からカーネルが何やっているか大体想像はつくと思うが、書き方がすっきりしてますね。

だからどうしたと言われればそれまでなんですが、たとえば、医療機器を超高速で制御したいときなんて、カーネルに手を加えた方がいい場合が多い(はず)なので、担当者にはそれくらいの知識・経験を要求しますね、私なら。

 

猪股弘明

 

HorliX 日本語ダウンロードサイト新設

こちらでは、あまり(現行の)HorliX に関する話はしないつもりだったのだが、これは告知しておいた方がいいと思ったので、ご案内。

HorliX の(日本語説明での)ダウンロードページを phazor.jp の方に設置しました。

 

HorliX に関しては海外ユーザーの方が遥かに多いので、作ろう、作ろうと思いつつこれまで先延ばしにしてました。

ちょっとスッキリ。

 

猪股弘明

 

 

PHORLIX について

現時点(2021 年末)で phorlix なる単語をググると以下のような結果になる。

要するにこの単語はGoogleに認識されておらず、代わりにミュージシャンと思われる Phoelix さんの情報がずらずらと表示される。

それはそうだ。
PHORLIX というのは我々がちょっと前にでっち上げた単語だ。
ある意味、カブッてなくてよかったと思う。(他で使われていないか確認するためにググったというのが本当のところ)

PHORLIX は元々は p-HorliX であった。

こう言っても意味不明か。。。

HorliX というのは、我々が開発している医療画像向けのビューアーソフトの名称で、リリースしてからかれこれ3年になる。

興味のある方は公式サイトを覗いてほしい。

HorliX は MacOS 上で動くのだが、この3年の間に MacOS の開発環境は激変した(主に Arm アーキテクチャの採用と OpenGL → Metal への移行)。だから「次に手を入れるなら、これまでの設計とは別系統のラインにしなくてはいけないだろう」という漠然とした思いを関係者は抱いていた。
これをなんとなく p-HorliX と呼んでいた。
たぶん p-HorliX の p は、post とか phazor という意味合いだったのだろう。

本当に「いつの間にか」そう命名され「なんとなく」そう呼ばれていたのだ。

そうはいっても、諸々の問題(開発するかどうか、するとしたらどういった開発体制を敷くのか等等)をいつまでもダラダラと先延ばしにするわけにもいかず、情報整理用にサイトがあった方がいいということになり、この度、サイトを開設したという次第だ。

また、ドメイン名は p-horlix にしたが、これだとどう発音していいかわかりにくい。幸い、英語では頭が ph という綴りになる単語が多い。
physics, physiology, philosophy…

繋げても違和感がないなら繋げてしまえとばかりに、ブログ名称は思い切って PHORLIX とした。
だから、PHORLIX を無理矢理発音するならば「フォーリックス」あたりになるだろうか。

 

猪股弘明(中の人を代表して)

(追記)google のクローラーはやはり優秀。
年が明けた 2022 元日には、しっかりインデックスされてました。