Horos 海賊版

このところ医療画像関係づいているので、先日、『Horos -wikipedia 風解説-』という記事を当ブログに転載させてもらった。
これから手入れしていく予定。

ところで、元記事が公開された当初「海賊版」という表現にひっかかった人がいたようだ。
まあ、配布していた人だと思いますが。
「海賊」という表現の問題は置いておくにして、ただ、やり方はけっこうまずかったように思う。

簡単にその理由を書いておくと、配布していたアプリが、セルフビルドした上で日本語リソースを組み込んだものなのか、それとも公式が配布しているバイナリをいわゆる「なんちゃって」日本語化したものなのか明記されておらず、ソースコードも一般公開されていなかったから。
日本語を使うと言う意味では両者に大差はないのだが、セキュリティという観点で見るとの両者はかなり違う。
セルフビルドした場合、悪意あるソフトを組み込むことは慣れた人なら割と簡単にできる。悪いことに Horos 自体はデフォルトではサンドボックス(一種の隔離機能)はオンになっておらず、ユーザーが気がつかないうちに予期せぬサーバと通信することだって原理的には可能だ。
悪意あるコードの有無をチェックするにはソースコードにあたるのが一番だが、これがなされていないとなると検証する道筋は途絶えている。

いくら、配布者が「安全だ、問題ない」と主張したところで、原理的に安全性が担保されていないソフトを無批判で使うわけにはいかない。
だから、公式は非推奨にしたし、ANN2b センセは「海賊版」という表現を使って注意を喚起したわけだろう。
中傷でもなんでもない。

一般にこの分野(医療情報の OSS 寄りとでも言えばいいのか?)では、スキル・経験ある人の助言は、的を射たものが多い。
もうちょっと尊重されていいのではと思うし、それが紹介した記事を転載した動機の一つになっている。

(追記)セルフビルドなのか?公式コンパイル済みバイナリを使ったのか?だが、後者ではないかと推測する人が多いようだ(あくまで推測)。根拠は、配布を中止することことが度々あるから。
cocoa アプリでは、日本語化の際に UI を決めている xib ファイルも生成されるが、horos では、これが v3.0.1 の時代から全く更新されていない。そのため不具合の温床になっており、OS のバージョンが上がった際に、UI 自体が歪むことがしばしばある。この状態で文字列を置換しただけでは、UI は歪んだままなのでアプリとして使い物にならない。horos の場合でいうと、2D Viewer が開く開かない以前に toolbar 領域が潰れるか拡大するかして、メニューアイテムそのものが選べない。配布が中止になるのはこれが原因では?という考察ですね。
セルフビルドの場合は、少なくともオリジナル言語の UI と大きく変わることはないので、原則、文字列の置換で OK です。
ここまで書いたので、勢いで書くと、配布者が評判悪いのは、ここら辺の説明をいっさいせず、「horos の日本語環境に問題あるのは、初期の日本語リソースのせいだ」という間違った説明をしているから。
説明の善し悪しはともかく、ベストは OS バージョンアップのたびに xib を含めて言語リソースに不具合がないか開発者側がチェックすることです。更新の必要があれば、自分で修正するか、contribution を募るというのが普通の対処方法です。

 

PHORLIX

この記事やこの記事で「推し」ていたものだから変に思った人もいるかもしれないが、結果的に見れば Mac 向け DICOM Viewer でPHORLIX シリーズが大人気である。

日本の App Store はもちろんのこと海外でも度々上位にランクするようになってきた。

PHORLIX は v1.1.0 から、Lite は v1.1.4 から完成度がグッと上がり、こうなることはある程度予想はできていたのだが、実際に動きが出てこないとなかなか実感できないものですね。
私自身、もうちょっと一般的なアプリやウェブサービスでは、成功体験は持っているが、医療系のしかもかなりニッチな分野のアプリは関与経験自体がなく、こうやって普及するものなのですね、とえらく感心している。

感心してばかりいても面白くないと思うので、私が、PHORLIX に関して知ることをいくつか。

誤算

開発陣は当初「Lite は無料なので、そちらが先に普及数するのではないか? Lite インストール勢の何割かが無印(PHORLIX)に移行してくれれば御の字」というシナリオを描いていたようなのだが、実際は PHORLIX 単体でも購入されている。
だから当初のシナリオは誤算だったようだ。

 

 

自作 DICOM Viewer

ネットで「バイブコーディングで DICOM Viewer を作る」というのが一瞬流行りかけたので、新記事作成。

なお、このムーブメントは、流行り「かけた」のであって、以降、定着したかというと現時点ではそこまでは言い切れない。
というのは、大半の人が「匂わせ」、つまりスクショを提示する程度に留まり、バイナリアプリを配布するところまで行きついていないから。
配布できないものは使えない。

Multi-DICOM Viewer

以前にも取り上げた。
バイナリを配布しているし、公証も取っている。
「匂わせ」ている人よりは何倍もマシなのだが、では、汎用的に使えるかというと・・・・んー。

それは、使ってみればわかる。

とにかく遅い。
あと、動作が不安定。

では、全く取り柄がないかというとそんなことはなくて、心カテの治療計画を意識した場合、大半の商用ソフトより機能は充実しているからだ。
後でも言及しますが、通常のビューアでは実装されていない機能が多く、これらの機能の大半は、「心カテを専門にする医師以外、使い道を同定すること自体が難しい」ものです。簡潔に言えば、「専門家以外、診断に使われているかどうかを判断すること自体が難しい」シロモノです。

中断

もうちょっと書きたかったのだが、変に取り上げられたので、この記事はここでオシマイ。

要は、「AI でソフトを制作することは容易になったが、公開・配布までできる人は限られている」ということが言いたかった。

バイブコーディングを全否定しているわけではないので念の為書いておきます。

DICOM Viewer 規制論

中断しようかと思っていたのだが、あまりにひどい「DICOM Viewer 規制論者」がいたので、その点にフォーカスして続きを書く。

「DICOM Viewer 規制論」というのは「DICOM Viewer は(画像)診断に使われる可能性もあるため、全てのビューアは薬機法の認証を取るべきだ」というあってもいいかもしれないが、現場の人間からはまるで支持されていない主張です。

実際、厚労省でもそのような議論はあるそうなのですが、「電子カルテの医療機器化」と同様、全く実現されていません。
日本だけでなく、世界レベルでそうです。
(そうなってたら、Horos や weasis など真っ先にネット上から姿を消さなければいけませんが、残念ながらそうなってません)
行政などは規制増やしたいでしょうから、定期でそれに近い匂わせをすることがありますが、その都度、関係者から静かに却下されています。

なんでそうなるかといえば、(細かい理由は省くが)医学的にその手の規制はメリットがほぼないから。
患者さんのメリットを犠牲にしてまで、規制を増やす必要はない。
さらには、行政(関連)機関が無数に産み出されるビューアをバージョンアップの度に(彼の意図を実現するなら)無償で審査することになり現実的には無理だからです。

で、「あまりにひどいDICOM Viewer 規制論者」ですが、具体的にはこういう投稿。

ほぼ実績のない零細ソフト会社代表(有村琢磨氏。ちなみに薬学部中退)をあたかも権威のように祭り上げるインフルエンサー気取り(河村伸哉氏。誰?)という構図のどうしようもない茶番感はそこはかとなく伝わると思う。
ところで、最近言われるようになったのは、この手の判断はそれ自体が医師法違反ではないか?という指摘。

「診断に使うかどうかは医師が決めること。それを無資格の者が判断すること自体が越権なのではないか」というロジックです。
Multi-DICOM Viewer が良い例でしょうか。
実際に診療に使われているかどうかの判断は医師の中でも専門家以外無理です。
なぜ、自分たちは判断できると思うのでしょうか?不思議です。

一見突飛のようにも思えますが、実際の「ダイコムビューア規制が頓挫した」事例ではこういった判断の方が多いため、取り上げてみました。

参考

『有村琢磨氏の言動が物議を醸している件』・・「DICOM Viewer 規制」は、地方自治体レベルで手を出した行政担当者はいるようなのですが、全例、失敗しています。
私も噂レベルでは聞いたことがあるのですが、その失敗の具体的な記録です。

『イルカは言葉を覚えたか?』・・dolphin 関係の中でも評価の高い記事ですが、追記でこのエピソードが登場してます。

 

HorliX / Horos / Miele-LXIV

リアタイでは体験してないのだが、かつて一世を風靡した HorliX という DICOM Viewer のメンテが再開されました。

更新履歴のページに v1.1.1, v1.1.2 などのリリースノートが載っています。

いや、しかし、OsiriX オープンソース版から連綿と続く作り込みがすごいですね。
OSS 全盛期の熱さが伝わってきます。

Horos の日本語

ところで HorliX のフォーク元、Horos には日本語でバグがあるんだそうな。
私が見たところ、バグというより、Horos 側のメンテナーの放置・無関心ってだけだと思う。バージョンアップのたびに日本語表示の不具合修正・調整をするのはメンテナーの仕事であってリソース提供者ではないから。というより、リソース提供者はリポジトリの操作を直接はできない。
不具合対策にしても、よくある紹介記事の「日本語表示をオフにして・・・」云々も OSS の観点からいうとナンセンス。Horos をどうしても日本語で使いたいとか日本語リソースを取り外したいとかの具体的な要望があるというなら、まず Horos のメンテナに交渉するのが筋だから。裏技的 tips の紹介はあってもいいと思うが、それが最初に来るのは何か違う。
OSS を売りにしながら、OSS らしい運営がちっともなされていない。

一部の AI では勧めているようだが、Horos というブランドにこだわらなければ HorliX 使った方がいい。
最近、Golden Gate 対応が関係者にアナウンスされた。

業者・アカデミアに対する違和感

ところで、話は脱線するが、本邦で Horos を案内している業者さんの一部にやけに日本語にこだわる人がいて辟易した。
Horos は、日本語表示云々より OS の更新に対する対応も四苦八苦というプロジェクトでしょう。
動くかどうかや UI が崩れていないかといったバグの修正の方が重要だと思うのだが、なぜか日本語表示のことしか頭にないような業者がいてびっくりした。実際、次期 macOS Golden Gate では、beta 版でのテストから既存のバイナリはクラッシュすることがわかっている。この対策の方が重要だと思うのだが、こういったことに関しては何も言わない。
おそらくは、「我こそが困った民衆を救う救世主だー」くらいの勢いで日本語版を配布していたが、途中で日本語リソースの作成に失敗、配布中止になったことから来るんだろうが、なんか感覚が違う。
→結局、Golden Gate 正式リリース後もなんのアナウンスもなし。流石におかしくないか?
→業者ではないが、群馬大解剖学教室も長らく「Horos マンセー」な記事を掲載。識者から指摘されると、Horos 関係の記事を全削除して担当者がトンヅラ。もうなんて言っていいやら。

Horos の一般的事項

Horos に関しては『Horos -wikipedia 風解説-』(by ANN2b センセ)が非常によくまとまっているので、一読を勧めます。
→結局、本サイトに転載させてもらました。『OSS な DICOM Viewer Horos とは?』

Miele-LXIV

OsiriX のオープンソース版から派生したプロジェクトとして Miele-LXIV というものがある。
こちらはメンテはされているが、やはり、Golden Gate ではクラッシュする。
→群馬大解剖学教室、Miele マンセーな記事はそのまま。おかしいを通り越してヤバい。
→2026/10/3 に Golden Gate 対応版がリリースされたが、UI パーツがなんかおかしい。そもそもクラッシュすることは数ヶ月前からわかっていたことなのに対応しないのは・・・。まあそういうことです。シビアなミッションには使えない。

 

開いたイルカ

「開いたイルカ」プロジェクトだが、Next の件で今度こそ本当に終わった感が出てきた。

ちょっと思うことなど。

妙に心に残る記事

『イルカは言葉を覚えたか?』

イルカに興味を持った当初、なんでこの記事が関係者から評価が高かったかわからなかった。

総括的な文章で言えば『OpenOcean 怪文書 -GPL 誤用による違法行為教唆-』などはよくまとまっているし、教育的な意味では『OpenOcean/Dolphin と職務著作と GPL』なんてネット全体で見てもかなり上位にくるコンテンツでしょう。

そういった王道の実用的な文章とは違う。
この文章が人を惹きつけるのは、空気感というようなものだろう。

全体的に派手な強い調子はなく、実際、導入部には素朴な推測と印象を置いている。

私もこの記事を書いている最中にそういう気分になったのだが、「彼ら」と対話する気が起きなかったのではないかと推測する。
明らかな事実誤認は指摘しておく必要あるが、変なリアクションされても困るし・・・といった風に。

「彼ら」という表現に微妙な緊張感が漂うが、それ以外は、いたって普通の導入部だ。
この後に、暗号化と符号化に関する議論と真正性に関するかなり具体的な議論が続く。
が、技術に走ることはない。
そしてクロージングに進むにあたって印象的なフレーズが飛び出す。

それは異世界の生物が突如として覚えたての人語を話すような状況に似ている。
言っていること自体は理解できるのだが、内容が奇異でコミュニケーションをとるところまでは至らないといったような。

異世界の生物が突如として覚えたての人語を話すような状況

これだろう。
私も今回の件を横目でチラチラ見ていて、ほぼ上のような感想を持った。

この記事で言うところの X 氏の行動が本当にわからなかった。
例えば、皆川氏のプロジェクトへの貢献は、当初はかなり否定的だったはずだが、最後には皆川礼賛に変わっている。
論理で意思を決定する人間は普通こういう風に評価を変えない。
「異世界の生物」という表現は言い得て妙だ。

で、最後は

そしてその中の人の一人が今どのような取り扱いになっているかは周知のことだろう。

「イルカも鳴かずば、撃たれまい」なのだ。

と民話や童話を想起させる一文で締めると。

うまいな。