Mac 向け無料 DICOM Viewer

以前に『Mac 向け無料 DICOM Viewer』(以下、本館記事)という記事を書いた。

その 2026 年版。
Windows 版はこちらで。

なお、表示に用いた DICOM は、こちらから拝借してきました。

Bee DICOM Viewer

アプリ自体の作りが上手いな、これ。
左側パネルにテキスト系の情報を集め、画像はメインのパネルにタブで表示と。Metal を直接使ってないこと(後述)や win 版も存在することから考えて WebView で開発したんでしょうね。
結果的に使いやすさにつながっていると思う。

ただ、US(Sample2) は表示できない。うわぁ。

サイケな現代アート?

他には、3DVR のプリセットはほぼ固定で、PHORLIX Lite などの CLUT Editor 形式に比べると表現の自由度が落ちる。

プレゼン用の特殊な色合いの 3D 表示が欲しい、という時にはこれだと物足りない。

また、これ自体はストレージ機能を持ってないので、ある程度使い込みたい場合、物足りなくなってくる。

元々 CR や CT をちょっと見たい、というような用途だと思うので、そこは割り切って考えるべきでしょう。
MacAppStore から気軽にダウンロードできるのは有能ですが、開発者によってデータ収集はされています。

ここは人によっては割り切れないでしょうね。

本館記事で「Metal に対応していないのでは?」と書いたが、ある macOS アプリがネイティヴで Metal 対応しているかどうかは Resources フォルダなどに *.metallib があるかどうかである程度は判断できる。

find /Applications/hoge.app -name "*.metallib"

Bee はないのですよね、*.metallib 。
だから、表示に関しては JavaScript 系で組んだか未だに OpenGL 依存である可能性が高いというわけです。

Horos

もう、プロジェクト自体がほとんどメンテされていません。
macOS では OpenGL は deprecated ですが、Horos の画像描画は OpenGL に依存しています。OpenGL 依存部分を全面的に Metal に書き直すというのが延命策の本筋ですが、かなりコストのかかる作業です。現状では、この作業を完遂させるのは難しそうで、そういう意味では開発が終了していると言っていいでしょう。

それにしても deprecated になっていることに言及せず、horos を紹介している記事の多いこと多いこと。
他の分野では Blender なんて、かなり早い段階で Metal 対応を済ませていて、この業界の体質の古さがよく出ている。

(追記)Horos を支援していた企業が falcon というアプリをリリースしている。こちらは Metal 対応。
どういう判断だったかわかりませんが、古いプロジェクトをテコ入れするくらいだったら、新規に起こした方がいいという判断だったと推測します。
これはちょっと将来的にもキビしい。

PaxViewer

このアプリを、単なる macOS 向けの医療画像閲覧デスクトップアプリとして分類していいものやら。。。
ビルドインサーバを内包しているユニークな構成。ユニークすぎて「サーバプログラム」とみなされて AppStore からは配信できないようですが。こういうところは Apple はポリシー見直してほしいと思う。ちなみに全く同じ構成の Win 版が Microsoft Store からしれっと配信されている。
それはともかく Mac をサーバ機にして、LAN 内のデバイスからブラウザ経由で画像を閲覧する。

この画像は https://phazor.info/HorliX-J/?p=1572 より

データベースも内包しているので、ある端末でスタディをアップロードして、他の端末で閲覧する、なんてこともできてしまう。

他にはない構成だが、刺さる人には刺さるでしょ、これ。
「Win/Mac 混在環境で仕事していて、スタディもある程度保管しておきたい」という場合、(無料に限って言えば)このアプリしか選択肢がない。
逆に、何がなんでも macOS デスクトップアプリじゃないとダメという人には向かない。

サーバ機能などの構成のユニークさに気を取られるが、表現力もかなり高い。
試してみたら、Bee では正常表示できなかった US もあっさり表示できていた。

他には XA も表示できた。

Metal 対応しているかどうかだが、直接 Metal は使っていないが VTK.js で WebGPU を介して Metal 対応しています。
(この調べ方は割愛)

ただ、ブラウザ型の悲しさか 3DVR を快適に使おうとするとそれなりのマシンパワーが必要です。
開発陣からしたら、その場合はデスクトップアプリ、例えば PHORLIX Liteを使えってことなんでしょう。

PHORLIX Lite

最初に断っておきますが、このアプリはかなり実験的な意味合いが強いです
Metal で Volume Rendering することを目標にしているフシがあって、ファイル読み込み〜タグ解析に関しては、正直、弱い
→失礼しました。v1.1.0 で読み込みが大幅改善。v1.1.1 では、なんとマルチフレームの US まで読んでます。Bee 超えかよ。

MacAppStore 版と開発者サイトからダウンロードできる直接配布版が存在する。

サイト配布版の v1.0.7 以降の 3DVR いわゆるボリュームレンダリングの機能はとんでもなく使いやすい。

本館記事でこういう説明をした。

テクスチャレンダリングでは、「光線ベクトルをちょっと進めて色加算」することで奥行きの色情報を現在注目しているピクセルに反映させているが、この時、色加算の方式としてアルファブレンディングという原理を利用している。
原理自体はそれほど難しくなく、注目しているピクセルの色表現を color、それまでの色表現を outColor としたとき、以下の式に従って色表現を更新(色加算)する。

outColor = α * color + (1-α) * outColor

α は「どの程度現在の色を残すか」というパラメータになっていて、α = 1 とすれば、奥行きの色情報を全く反映させず color だけを残す(透過表現にはならないが)、α = 0 とすれば、color は残さないので素通しになる、のがわかると思う。

PHORLIX Lite では、outColor = α * color + (1-α) * outColor の α を RGB すべてのカラーで指定できる。
下のスクショの下のパネルが α の指定のために使われる UI で、CLUT Editor といわれる。

軟部組織を特定の色で染めたいなんて時に、この機能は便利。
スクショでは、赤(R)チャンネルの α 値を軟部組織領域(特に腎臓)で強調しているので、腎臓だけ赤っぽく表示されているわけです。

PHORLIX

知っている人は知っていると思いますが、PHORLIX Lite と PaxViewer の開発メンバーはほとんど被ってます。
だから、両者の統合はかなり容易なはずで、PHORLIX Lite に PaxViewer のストレージ機能や DICOM 通信機能を持ってくれば、Horos や OsiriX のようなアプリができるのでは?と以前から指摘されていました。
これを実現したのが PHORLIX です。
Lite 同様、直接配信版と MacAppStore 版が存在する。
v1.0.2 では、なんとWebサーバ機能や PACS 機能(C-STORE)が提供されました。

v1.0.3 では ROI が、v1.0.7 に至ってはセグメンテーションに AI まで使ってます。
いやはや、本格的になってきましたね。

AppStore 版は有料になりましたが、直接配信のトライアル版は公式サイトから無料でダウンロードできます。

weasis

正直、苦手でした。
起動してもグレーの画面が全体に広がり「これ、人に使ってもらおうという気持ちある」くらいに思ってました。
が、歴史が古いだけあって、細部の作り込みはそれなりの水準にあるようで、DICOM SR のオーバーレイ表示も可能だったります。

(追記)ただし、DICOM SR のうち対応できているのは、GSPS のみで、より複雑な SCOORD 3D は現時点では対応していない、とのことです。

3D Slicer

DICOM 特化というわけではないが、無料なので。
解析にいいと言われているようですが、weasis や PHORLIX が読めている DICOM SR が読めなかったりします。
UI もお世辞にも使いやすいとはいえず、研究者向けでしょうか。

Multi-DICOM Viewer

大阪大の心カテーテルを専門とする先生が作成したビューア。
マニアックな機能を実装しているらしく、そちらは詳しくないので、正直、レビューできません。

PyQt を使っている関係上、ライセンスは GPL となり、ソースコードが GitHub で公開されている。
汎用ビューアとして使えるかというと・・・むにゃむにゃ。
良くも悪くもバイブコーディング時代になったのだなと思い、紹介してみました。

(追記)バイブコーディングして作りました!と言いつつ、有名 OSS の丸パクリした人が出てきましたね。
ある意味イヤな時代になったものです。
あと、匂わせの多いこと多いこと。

番外 miele-lxiv

有料なので番外。
Bee や Horos と同じく Metal 使ってないっぽいです。いまだにグラフィックが OpenGL 依存。

他には US が表示できない。

これで有料(2026年6月時点で 5000円)だと手を出しにくい。

番外 HorliX

なお、HorliX は開発陣が公式にはサポートしないと言っているだけで完全にメンテを放棄したわけではない。
ダウンロードページから Ver1.1.0 が落とせる。日本語化されているし、arm Mac で動く。

感想など

ダイコムファイルをちょっと見る、程度であれば、Bee DICOM でいいと思うが(Metal 対応していないが、無料なんで)、用途によっては、PaxViewer や PHORLIX( 含Lite) もチェックした方がいい。
個人的には PHORLIX がおすすめ。

開発者が日本人

というのも何かと安心。SNS で連絡取れるし(笑)。
案の定、ランキングも上がってきました。

海外でも売れているみたいです。

しかし、この手の検索で未だに「YAMAKI DICOM ツール集」とか上位に出てくるのはなんなの?

windows

Windows プロダクトのレビューはこちら

 

 

 

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“Mac 向け無料 DICOM Viewer” への3件の返信

    1. 「3次元構築=MPR」と言っているうちは誰も咎めはしなかったんですが。
      某画像が出回ってきて、「ああ・・・」になりました。
      ボリュームレンダリングはそんなに簡単に実現できるわけない。
      誤認を誘うような言い方は NG ですよね。

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